築地と豊洲とネズミ
築地と豊洲、揉めてますね。
ワイドショーも新豊洲市場一色で、世界的な株安はどうしちゃったのか心配になります。
テレビで取りあげられる街の声も様々で、Twitterでもいろんな議論が巻き起こってます。
安倍政権が悪い、小池百合子が悪い、石原慎太郎の時代からおかしかった、豊洲という土地がそもそもダメ、築地はネズミだらけだから豊洲の方がマシ、豊洲の地下水問題はどうなったんだ
などなど
豊洲に移転するとマグロが腐って食の衛生・安全が保たれないなんてtweetも見ました。
他にもいろいろあると思います。
これは自分が見かけた中の、ほんの一部の議題です。
さて
身バレしないようにどうやって話したらいいか迷いますが、
日本には「PCO業界」というものが存在します。
おそらくは、食の安全や衛生を重視している先進各国にも似たような業種が存在します。
「PEST CONTROL OPERATION」
の略で、害虫や害獣(食品を脅かす生き物すべて)をコントロールして、安全で衛生な食環境を守ろうとする人たちと、その働きのことです。
ここで、動物愛護のことや、人間が生き物をコントロールできるわけがないと言い出すと、本当にキリがないのでここでは割愛します。
そんなPCO業界の方々で作る、PCO協会というものが、新豊洲市場に調査で入り、ネズミやゴキブリ、その他の虫をいかに抑え、混入がないようにするか、日々模索することになります。
要するに、1社だけだと人が足りない・1社の目線だけだと偏る
ということで、いろんなPCO業界の、防虫・防鼠のプロが、豊洲には入ることになります。
これを書いている自分は、そのうちの一人です。
ホントに狭い業界で、あっという間に身バレに繋がるので、そこはホントに察してください。頼みます。
本題に移ります。
「築地はネズミだらけだった」説
間違いなくそうです。
衛生なんて全く語れないです。
ネズミ云々以前に、食品を扱うエリアとしてすべてが終わってます。
シートシャッター開けっ放しの時点で有り得ません。
「こういうものだから仕方ないでしょ。昔からこれでなんの問題もなかったよ。」
と、市場の皆様はおっしゃいます。
わかりました。そうなんですね。
ネズミもゴキブリも止まらないのは仕方ないですね。
……それで終わりです。
市場の人も、都の衛生担当とかの、めちゃくちゃ上の人たちは気にしてますが、現場レベルではネズミもゴキブリもチョウバエも、その他有象無象も「いて当たり前」です。
そんなところの水産や青果を皆さんはありがたがって食べてました。
以上です。
次です。
「豊洲はヤバい」
ヤバいです。
なにがやばいかというと、豊洲市場で働いている人(要するに、元築地市場のおじちゃんたち)に、衛生の概念がありません。
あるだろうけど、全く足りてません。
食品の安全を守るためには、
1、2に清掃、3に清掃、四の五の言わずにとにかく清掃
という意識が1番大事です。
これを5Sといって、工場や倉庫で働いてる方は目にしたことがあると思います。
「整理、整頓、清潔、清掃、躾(習慣づけ)」
この5つの頭文字を取って、よく5Sという標語になっています。
この習慣づけが出来ていないと、あっというまに汚くなります。
生の食品扱ってるんだから、当然虫も湧きますし、ネズミも入ってきます。
自宅の生ゴミをキッチンの床にぶちまけたままにして生活したら何日でコバエがわくと思いますか?
毎日の掃除が大事だというのはそういうことです。
当たり前のことですが、これが難しく、大手食品工場さんだって何度忙しいからやってられるかとブチ切れられたか分かりません。
普段の業務の腹いせに1社ずつ名前を出したいところですが、ホントに綺麗な食品工場だってまず見つけられないのに、血と汗の滲むような努力をしていたって虫がどこからともなく湧いてくるのに、豊洲と、そこではたらくおっちゃんたちがこの今の世間の衛生基準に乗っ取って5Sが出来るかというと、まず無理だと思います。
普通だったら躾ることができる5Sも、いろんな零細企業の、昔気質の職人の集まりである市場では、ちょっと無理があるのだと思います。
また、築地にも豊洲にも、周辺施設、飲食店、オフィスビルなどにはネズミもゴキブリもわんさかいます。
クビになるので名前は一切出せませんが、全てこの目で見てるので間違いありません。
日本中、どこ行ってもネズミもゴキブリもわんさかいます。
食品を扱う施設は、いかに5Sを徹底して、ネズミを侵入させないか、ゴキブリを営巣させないかの勝負なんです。
そういう意味では、出来たての豊洲市場の方が隙間や建物の破損がなくてネズミは侵入しにくいと思います。
ネズミのことを考えると絶対に豊洲の方がいいです。
ただ、あそこのおっちゃんたちは、すぐ招き入れてすぐネズミだらけにすると思いますって話です。
政治の右・左でこの問題を語る人達があまりにも多すぎます。
まとめると、
1, 日本中どこにでもネズミはいる。
2, 築地にも豊洲にも大手食品工場にもあなたの街の最寄りのスーパーにもネズミはいる。確実にいる。いないことになってるだけ。
3, 豊洲市場で働く人達の衛生観念が低すぎるので、古くても新しくてもいずれネズミとゴキブリのパラダイスになる。
です。
なんどでもいいますが、安倍さんが小池さんがどうのって話じゃないんです。
食品を扱うところには必ずネズミが来て、中で働く人達の意識が低いとあっというまにネズミだらけで止められないことになるって話なだけなんです。
Twitterでこの件について話すと、このニッチな職業もバレるし、政治のどっちかの肩を持ってるんじゃないかって誤解される気がするのでこちらをお借りしました。
ネズミやゴキブリが飲食物を扱う場所にいることの是非は皆さんの感覚の問題だと思うのでここでは触れません。
実際にネズミを止めるべく仕事してる目線からの、ひとつのモノの見方だと思っていただけると幸いです。
伝えたいことはこれだけです。
長文失礼致しました。